2025.02.27
スーパー仕事人、堀内誠一って何者?

先日、東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催中の「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」へ行ってまいりました。
本当にこれ1人の仕事量なの!?と驚くような、スーパー仕事人堀内誠一さんのクリエイティブを、FASHION・FANTASY・FUTUREの3つの構成で紹介する展覧会。とっても面白かったので、少しだけ感想をここに記録します。

※この記事の掲載写真は、すべて撮影可能エリアで撮影したものです。

堀内誠一展の基本情報

展覧会名:堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE
会期:2025年1月22日(水)ー 4月6日(日)
会場:PLAY! MUSEUM
   〒190-0014 東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟
公式サイト:https://play2020.jp/article/seiichi_horiuchi/



「FASHION」展

展示はまず、堀内誠一さんが手がけたファッション雑誌『anan』にフォーカスを当てた「FASHION」のセクションから始まります。

1970年、平凡出版(現・マガジンハウス)が日本初となる大判のヴィジュアル女性誌『anan』を創刊。
そこに堀内さんがアートディレクターとして抜擢され、ロゴや表紙のデザイン、誌面全体のアートディレクション、さらには雑誌のコンセプト作りや編集にも携わり、かつてない新しい雑誌作りが実践されました。

会場には、堀内さんが手がけた『anan』の当時の誌面が印象的に展示されており、一緒に展示を観に行った友人と、「今見ても全然格好いいよね」「デザインに古臭さが全く無いよね」「なのになんで昭和感とかレトロさを感じるんだろう」「やっぱり印刷技術の限界かなあ」なんて言いながら、見進めて行きました。
デザインの格好良さだけでなく、実際に誌面の中身を読んでみると、内容が面白い!
当時の時代を感じる、破天荒でエネルギッシュな文章に、2025年を生きる私もわくわくしました。

「生きて、愛して、歌って!!!!!!! それが「アンアン」のファッションです。」という『anan』7号からのメッセージが会場にも記されており、当時の女性たちはこの雑誌から生きる喜びを感じていたんじゃないかな、なんて思いました。

そして、当時堀内さんと一緒に仕事をしていたデザイナーや編集者からのコメントも抜粋して掲載されていたのですが、全体のアートディレクションだけでなく、ユニークな企画を考えたり、広告ページのデザインや各ページの文字組までも堀内さんが行われていたようで、どれだけ仕事するんだこの人・・パソコンも無い時代に・・・と少しゾッとしました。



「FANTASY」展

展示は続いて、堀内誠一さんの描いた絵本を紹介する「FANTASY」のセクションに続きます。

堀内さんは幼い頃から絵を描くことが大好きで、働き出してからも家や画塾で絵を描き続けており、26歳の時に『くろうまブランキー』(福音館書店) で、デザイナーとして活躍しながら絵本作家としてもデビューしました。
「FANTASY」のセクションでは、堀内さんが描いた絵本が並びます。
3メートルもある大きな絵本が展示されていたり、光や音の演出とともにたくさんの絵本原画が並んでいたり、トンネルのようなものをくぐりぬけた先はとある絵本の世界だったり、展示の空間デザインがとても凝っていて、すっかり絵本の物語の世界に入り込んでしまいました。

最後は絵本『ぐるんぱのようちえん』から巨大なぐるんぱ象や上記3メートルの絵本が展示されているスペースに。
ここは土足厳禁で、ゆったり絨毯の上に座り込んで実際の絵本も手にとって読むことができます。
私と友人も、展示を見ていて気になった絵本を何冊か読ませていただいたのですが、周りを見回すと、小さな子に読み聞かせをしている親子連れがたくさんいて、この子達はきっと大人になっても今日読んだ絵本を忘れないんだろうな、とほっこりした気持ちになりました。



「FUTURE」展

展示の最後は、堀内誠一さんのクリエイティブから影響を受けたり交流があったりした110人が薦める堀内さんの作品をずらりと展示した「FUTURE」のセクションです。

絵本作家やデザイナー、はたまた歌舞伎役者まで、さまざまな分野で活躍する人々のコメントとともに紹介される堀内さんのクリエイティブ。思い入れがのった心に響くコメントを残されている方がたくさん居て、1987年に54歳の若さで逝去した堀内さんですが、その膨大で多彩な作品たちは、今もなおたくさんの人々の心に残り、新しいクリエイティブを生み出す源となっているのだなと感じました。
例えば、『パリからの手紙』という本に対して、堀内さんの描くパリの地図を見ながら実際にパリの街を歩いた。まるで堀内さんと会話をしているようだった。とコメントを残している方がいて、私までわくわくしました!

今回の展示を見てみて、『BRUTUS』、『POPEYE』など雑誌のロゴマークなど、有名な作品以外にも、本当に幅広いクリエイティブを手がけていることを知り、きっとこれからも、堀内さんの作品からインスピレーションを受けて活躍するクリエイターは後をたたないんだろうなと、まさに展示タイトル通り「未来」を感じる、素敵なセクションでした。



おわりに

本当にどれだけ働くんだろうこの人・・と恐ろしさを感じるほど、膨大な作品を残した堀内さん。
私もまだまだ頑張らねばと気持ちを引き締めました。
今回の展示では、セクションが変わるたびにガラッと雰囲気が変わって、1度で3度美味しいとても見応えのある展示でした!
それぞれのセクションで、別々のデザイナーさんが空間デザインを担当されているようで、展示方法にもとてもこだわっていたので、一見の価値は十分にあります。

そう、PLAY! MUSEUMでの企画展って、いつも展示方法が凝っていて可愛いんです・・!
一部を除いて写真撮影がNGだったのでお見せできないのが残念なのですが、4月6日まで開催されていますので、ぜひお時間があれば実際に行ってみてください!



この記事を書いた人 sakai